FC2ブログ

恋愛小説の旗手が描く田部井淳子さんの足跡――唯川恵「淳子のてっぺん」 

カテゴリ:本の紹介

読みました。

「淳子のてっぺん」(唯川恵著、幻冬舎刊)

28642217_1[1]

エベレスト(チョモランマ)に女性で初めて登頂した登山家、田部井淳子さん(16年10月死去)をモデルにした小説です。

一昨年燕岳に行ったときに麓の宿で信濃毎日新聞に連載中なのを目にして「え! 唯川恵が山を舞台にした小説を? しかも実在の人物をモデルに?」と新鮮な驚きを感じたのを覚えています。唯川恵といえば直木賞を受賞した「肩ごしの恋人」など都会的な恋愛小説を書く人というイメージだったので。

単行本になったら読もうと心待ちにしていたのですが、図書館派の私、図書館で順番が回ってくるのを待って、やっと読みました。

小説として、実際の事実と変えていると思われる部分もあって、あれ?と思うこともありましたが(幼馴染みの勇太、女子大で同期だった麗華など「都合のいい」登場人物は創作でしょうね)面白く読みました。

すさまじいのはアンナプルナ遠征での隊員同士のトラブルや確執。田部井さん本人が書いた「エベレストママさん」(のちに「頂上だよ、タベイさん」に改題し復刊)で読んではいましたが、いやはやすごい。

もう二度とあんな思いは、との気持ちを切り替えて、女性だけのエベレスト登攀に挑むのでした。

なぜエベレストに登れたのか。

鍛えられた登山技術や体力もさることながら、高度順化の能力が並外れているんでしょうね。植村直己などもそうですが。あと天候も含め、運なのかな。

なぜ山に登るのか。作者はその答えを淳子さんの夫(彼自身登山家ですが、家庭で淳子さんをサポート)に言わせています。

「なぜ生きるのかってことと同じだよ。なぜ生きるのかの答えを知るために、人は生きる。なぜ山に登るのかを知るために、山屋は登る」

なるほどー。

(はせ)
スポンサーサイト

コメント

コメントの投稿

(コメント編集・削除に必要)
(管理者にだけ表示を許可する)

トラックバック


この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)