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日本の裏側の絶景かな 

カテゴリ:本の紹介

 またも、なんとなく手に取った一冊です。

「パタゴニアを行く」(野村哲也、中公新書・カラー版、2011年1月25日発行)

パタゴニアを行く表紙
 
 サブタイトルは、「世界でもっとも美しい大地」とあり、帯には「地の果ての絶景」とあります。
 あまりにストレートなうたい文句なわりには、表紙の写真はかなり地味な印象です。パラパラとめくると富士山に似た山やブルー氷河、さらには日本に似た四季の移り変わりの花や森林の写真が気持ちを引きつけました。こんな暗い時だから、異国にロマンを求めて、1000円弱で購入しました。

  一言でいえば、読んで見て、ぜひともパタゴニアに行ってみたくなりました。1000円以下で行った気分に浸れました。お得な一冊です。

 世界を旅した写真家青年がたどり着いた最後の楽園であり、グレートジャーニーの最終地点を訪ねた旅の印象から、現地に移住するに至った話などが織り交ぜられた写真紀行です。
 写真による南米大陸南部のパタゴニアの北から南まで数千キロにわたる変化と多様性のある山、島、氷河、動植物の魅力とともに、そこに住む移住者を含めた人々との出会いが読み物としても面白いです。おいしいビールやスイーツ、肉料理の話も胃袋を刺激します。

 山は登山ではなく、麓から眺めた美しい山容の写真が中心ですが、記憶を呼び覚ます部分と想像を掻き立てる両面が脳に訴えてきます。富士山や乗鞍岳などから欧州アルプス的な山波、さらに南には神々が宿るような尖塔の峰々が光と風雨雪での表情は、最果ての絶景は過言ではないです。写真家による著作ならではでしょう。

 最南端に住む最後の原住民族の末裔へのインタビューは考えさせるものがあります。野村氏はなぜか「嫌いな人っていますか?」と聞き、「貯める人」と答えます。「何で?」「何でも。食料、愛情、勇気、お金、自分のためにだけ貯める人は軽蔑する」と断言します。その理由は、立ち読みでもいいから読んでください。

 氷河の蒼色は新書版では表現しきれていないでしょうが、現地で見てみたい衝動に駆られます。最近はチリのマチュピチュ遺跡とともに人気な観光地だそうですが、俗化しないで、美しい大地のままでいてほしいです。
ねこ
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