白夜の大岩壁に挑む

山の本の紹介です。

「白夜の大岩壁に挑む―クライマー山野井夫妻(NHK取材班著、NHK出版刊、1600円)

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1月に放送された、山野井泰史、妙子夫妻によるグリーンランド・ミルネ島のビッグウオール挑戦を追った番組の取材班がまとめたドキュメンタリーです。

02年のギャチュンカン登攀で手足の指を凍傷で各自計10本と18本失って再起が絶望視された二人ですが、トレーニングを重ね、再び未踏の岩壁に挑みます。山学同志会の木本哲氏(この人も足の指が10本ともない)と組み、3人で成し遂げました。

その準備過程や、登攀の行き詰まるような一部始終、奥多摩での日常生活や両親、大家さんら二人を支え心配する周りの人の思い――など興味深く読みましたが、私がうなずいたのは泰史氏の以下の言葉です。

「(岩登りができなくなっても)山登り自体は一生続けていくつもりです。これ以上面白い行為は、僕には見つかりません。ですから一生続けたい」

いいなあ。かつて著書で自らを「山で死ぬことを許された人間だと思う」と言明したのには、はっきり言って「別世界の人」と違和感を持ちましたが、この言葉には私にも共感できました。

一方、痛みに強く、どんな状況でも平静でいられる妙子さん。泰史氏が絶大な信頼を寄せるパートナーです。「百の谷、雪の嶺」を読んだときも思ったのですが、この人、泰史氏以上にすごい、と改めて思いました。ぜひご一読を。

※↓山野井泰史に関する本は他にこんなのが…。
「ソロ―単独登攀者・山野井泰史」(丸山直樹著、山と渓谷社刊)
「垂直の記憶」(山野井泰史著、山と渓谷社刊)
「凍」(沢木耕太郎著、新潮社刊、雑誌発表時のタイトルは「百の谷、雪の嶺」)

※テレビ番組の、同行取材のカメラマンもすごい、と思いました。

(は)


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