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残雪期の後立山連峰・白馬岳を舞台にした山岳冒険小説――馳星周「蒼き山嶺」 

カテゴリ:本の紹介

読みました。

「蒼き山嶺」(馳星周著、光文社刊)

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馳星周の作品は読んだことがなかったのですが、山岳冒険小説を書いたというので読んでみました。

舞台は残雪期の後立山連峰・白馬岳周辺。元山岳救助隊の得丸志郎は大学山岳部時代の同期、池谷博史と山でばったり出会います。池谷は警視庁の公安警察官。今は見る影もなく中年太り。白馬岳に登るつもりといいますが、足取りも体力もおぼつかなそう。得丸がガイドをすることに。

行き合わせた単独行の若い女性と白馬鑓温泉に浸かったりして冒頭は湯ったりまったりした雰囲気。そこから一転きな臭い展開に…。

馳星周といえば都会を舞台に裏社会を描いたノワールな小説、というイメージだったので山を舞台にした話は意外でした。

著者インタビュー記事によると、馳さんは軽井沢に住んでいて、同じ軽井沢の住人唯川恵さんの夫が山屋なのでその手ほどきを受けて浅間山を手始めに山に登り始めハマったのだそう。それで山を舞台にした小説を書く気になったのだとか。

なるほど。都会派恋愛小説の旗手唯川恵が田部井淳子さんの半生を描いた「淳子のてっぺん」を書いたのも意外でしたが、夫氏が山屋だったのね。

積雪期の後立山連峰の景色などの描写はなかなか。行ってみたくなります。しかし、途中で先の展開がだいたい読めてきたのと、山での「偶然の出会い」が多すぎ。都合良すぎるだろー、と思わなくもなかったですね。

(はせ)
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恋愛小説の旗手が描く田部井淳子さんの足跡――唯川恵「淳子のてっぺん」 

カテゴリ:本の紹介

読みました。

「淳子のてっぺん」(唯川恵著、幻冬舎刊)

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エベレスト(チョモランマ)に女性で初めて登頂した登山家、田部井淳子さん(16年10月死去)をモデルにした小説です。

一昨年燕岳に行ったときに麓の宿で信濃毎日新聞に連載中なのを目にして「え! 唯川恵が山を舞台にした小説を? しかも実在の人物をモデルに?」と新鮮な驚きを感じたのを覚えています。唯川恵といえば直木賞を受賞した「肩ごしの恋人」など都会的な恋愛小説を書く人というイメージだったので。

単行本になったら読もうと心待ちにしていたのですが、図書館派の私、図書館で順番が回ってくるのを待って、やっと読みました。

小説として、実際の事実と変えていると思われる部分もあって、あれ?と思うこともありましたが(幼馴染みの勇太、女子大で同期だった麗華など「都合のいい」登場人物は創作でしょうね)面白く読みました。

すさまじいのはアンナプルナ遠征での隊員同士のトラブルや確執。田部井さん本人が書いた「エベレストママさん」(のちに「頂上だよ、タベイさん」に改題し復刊)で読んではいましたが、いやはやすごい。

もう二度とあんな思いは、との気持ちを切り替えて、女性だけのエベレスト登攀に挑むのでした。

なぜエベレストに登れたのか。

鍛えられた登山技術や体力もさることながら、高度順化の能力が並外れているんでしょうね。植村直己などもそうですが。あと天候も含め、運なのかな。

なぜ山に登るのか。作者はその答えを淳子さんの夫(彼自身登山家ですが、家庭で淳子さんをサポート)に言わせています。

「なぜ生きるのかってことと同じだよ。なぜ生きるのかの答えを知るために、人は生きる。なぜ山に登るのかを知るために、山屋は登る」

なるほどー。

(はせ)

厳冬期の北岳を舞台にしたスリリングで手に汗握るサスペンス――樋口明雄「白い標的 南アルプス山岳救助隊K-9」 

カテゴリ:本の紹介

読みました。

「白い標的 南アルプス山岳救助隊K-9」(樋口明雄著、角川春樹事務所刊)

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南アルプス・北岳を舞台にした山岳救助隊の活躍。

今回は厳冬期の北岳が舞台です。

冬の北岳には私、むかーし、ヤマニテに入ったばかりのころ(30年くらい前)、会の3人で入山し、メンバーの体調不良によってあと一歩のところで引き返したことがあり、少々思い入れがあります。

鷲ノ住山、池山吊尾根、あるき沢橋、ボーコン沢の頭…といった地名を聞くと、あの時のことを思い出します。いやー、ピークを踏みたかったなぁ、と。でもピークを踏めなかったからこそ印象深いのかな。

冬の北岳は高村薫の直木賞受賞作『マークスの山』にも出てきましたっけ。

さて、本作は北岳を舞台に、甲府の宝飾店を襲った強盗3人組、厳冬期バットレス登攀を狙う大学生2人組、妻に去られリストラされて黄昏れた中年サラリーマンの単独行者――といった面々が交錯し、それに南アルプス署と山梨県警の刑事、山岳救助隊員らがからんで…といった展開。

いや、なかなかスリリングで手に汗握るお話です。まあ、山岳救助隊員らの活躍で話は落ち着くところに落ち着くわけですが。

このシリーズの前作(「ブロッケンの悪魔」)は、化学兵器とミサイルを持って北岳山荘を占拠したテロリストと山岳救助隊らの対決に自衛隊のオスプレイまで登場する壮大なアクション巨編だったのですが、

今作はそこまでの派手さはないものの、なかなかの味わいでした。

(はせ)


イグルー泊雪山登山、やってみたい!――米山悟「冒険登山のすすめ: 最低限の装備で自然を楽しむ 」 

カテゴリ:本の紹介

読みました。

「冒険登山のすすめ: 最低限の装備で自然を楽しむ 」(米山悟著、ちくまプリマー新書)

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本書の前半は一般的な山登りの魅力の解説と案内ですが、後半、焚き火やイグルー作り、山スキーなど一歩進んだ冒険登山のガイドに。

登山道や道標が整備された山は公園と同じ。そこから一歩踏み出そう、と著者は言います。沢、岩、雪山の世界ですね。

特に雪山でのイグルー作りについてはかなりページを割いて詳しく解説しています。
イグルーの長所を著者はこう述べています。

「豪雪でつぶされるテントのように深夜の雪かきの必要がありません。中は雪洞のように暗くなく、ほどよい明るさです。ブロックの隙間に適度に穴があいているので、テントや雪洞のように酸欠の心配もなく、雪洞特有の湿気も溜まりません」

それでいて、雪洞と同じく気温が0度くらいと暖かいといいますから、いいことづくめですね。

コツはテントを持っていかないこと、と著者。うまく作れなければテントを使えばいいや、という退路を絶って、真剣勝負で作成に臨むこと、と。

なるほど。ぜひ実践してみたいものですが、でも、勇気がいるな〜。

ほかにも野糞のすすめ、無雪期は地下足袋で、など興味深い内容が。

著者はNHKのカメラマン。在籍した北大山岳部は、シゴキのない民主的な気風で、バイオニア精神にあふれた部だったそうです。

ナイフやノコギリ、スコップなど、お薦めのブランドも含めた購入ガイドも参考になりました。

(はせ)

意外や硬派な冒険の記録――宮城公博「外道クライマー」 

カテゴリ:本の紹介

読みました。

「外道クライマー」(宮城公博著、集英社インターナショナル刊)

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「山の嫌われ者」「登山界の異端児」を自認する「沢ヤ」の宮城公博氏。この本を読むまで全く知りませんでした。

巻末の角幡唯介氏の「解説」によると、著者は自らのブログで〈セクシー登山部〉の舐め太郎を名乗る、怪し〜い人物なのだそうです。

だから、どんなお下劣な内容なのかとワクワク、じゃなかったドギマギしながら読み始めたのですが、意外や硬派な冒険の記録でした(ときどきお下品な表現が交じりますが)。

「タイのジャングル46日間沢登り」とか「台湾最強の渓谷チャーカンシーのゴルジュ遡行」「称名廊下ゴルジュ突破」「称名滝厳冬期初登攀」など。

いずれも命がいくつあっても足りなそうな冒険の数々。

宮城氏は数年前、那智の滝を直登して逮捕された3人のうちの1人だそうです(そういえばそんな報道がありましたね)。その事件で彼は7年勤めた福祉施設を辞めることになったのだそうです。

報道だけを読むと、なんて罰当たりで人騒がせな…と思うのですが、登った本人の視点で語られると、そこに未登の滝があってパイオニアワークを求める先鋭的な沢ヤがいれば、登って当然でしょ、となります。

「サバイバル登山」の 服部文祥や「空白の 五マイル…」の角幡唯介もそうですが、こういう私などには決してできないとんがった冒険の話、実に面白いです。

しかもこの人、表現力が豊か。自然の描写や冒険の中身の語りもさることながら、心の揺れや葛藤、パートナーとの軋轢を含めた内面のドラマも。なかなか読ませます。

(はせ)



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